2014年3月31日
WORLD PEACE NOW実行委員会
WORLD PEACE NOW実行委員会
安倍政権は、武器や関連技術の輸出を禁じた「武器輸出三原則」を骨抜きにした新たな指針「防衛装備移転三原則」を閣議決定しようとしています。私たちは、このような政策に強く反対し、現行の「武器輸出三原則」の徹底を求めます。
「武器輸出三原則」骨抜きは、昨年12月に強行採決された特定秘密保護法、現在進行中の解釈改憲による「集団的自衛権」の行使容認へ向けた動きなどと一連の政策としてつながっています。安倍政権の終局目標は、第9条を柱とする日本国憲法を変え、政府の決定によって海外で戦争のできる国へと日本をつくり変えることです。
日本は、1950年代の朝鮮特需から、安保条約による米軍への発進基地提供、近年のアフガン戦争、イラク戦争への自衛隊派兵など、「平和国家」の名にもとるような、数々の戦争への加担があったことは否定できません。それでもなお、武器輸出三原則は、日本国憲法と合わせて、私たちが世界に誇るべきものです。第2次大戦後60年、日本は本格的戦闘に参加することは一度もなく、自衛官は一人も戦死せず、自衛隊が他国の兵士や住民を一人も殺すことはありませんでした。これは、日本が世界に誇るべき歴史的事実であり、貴重な外交的資産だと言えます。
日本が、強力な軍事能力を持つようになった自衛隊を抱えながら、それでも国際社会から「平和国家」として広く認められてきたのは、平和憲法と、その精神を具体化する武器輸出三原則があったからではないでしょうか。この三原則は、1976年2月の三木武夫首相の国会答弁、1981年3月の全会一致による国会決議により補強され、「我が国は、日本国憲法の理念である平和国家としての立場をふまえ」(同決議)、事実上、武器輸出を全面禁止するものとなりました。その後、対米協力に限っていくつかの「例外」が設けられてきましたが、武器輸出禁止の大枠は維持されてきました。しかし安倍政権は、三原則を根本から覆し、武器の共同開発・共同生産を拡大しようとしています。日本の技術を用いた高度な兵器の輸出が、日本の軍需産業の利益をもたらすことを期待しているのです。
武器輸出三原則の緩和、撤廃で失われるものの大きさは、計り知れません。「平和国家」としての日本の評価が国際社会で失われるだけでなく、国際紛争を助長し、日本の技術、日本の労働者が作った武器で他国の人びとの生命が奪われことになるからです。
私たちがめざすものは、あらゆる紛争の平和的解決に尽力し、「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占める」(憲法前文)ことです。武力では平和はつくれません。「死の商人」をめざすことは、世界の軍縮の動きに逆行するものです。
私たちは、武器輸出の事実上の解禁に強く反対し、現行の「武器輸出三原則」の徹底を求めます。